鳥々
藤本能道の色絵磁器
2025年6月7日(土)~9月28日(日)
Birds, Birds, and Birds: All Sorts of Fujimoto Yoshimichi’s White Porcelain With Overglaze Enamels
June 7th – September 28th, 2025

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藤本能道(1919~1992)は写実的で奥行のある色絵を追求し、1986年に色絵磁器の重要無形文化財保持者に認定されました。絵具の濃淡でモチーフを立体的に描き、それを白磁の肌と一体化させて見せるために、背景を表す技法として「釉描加彩(ゆうびょうかさい)」を開発します。主なモチーフは鳥です。色絵の魅力は絵具や釉薬の重なりによる層状の表現にありますが、鳥を描いた色絵の下層に水彩画のような淡い景色を表すことで器の奥へと広がる写実的な、それでいてやきものの文様としての抽象性も有する独自の表現を生み出したのです。
東京美術学校(現・東京藝術大学)で工芸図案を学んだ藤本は、陶芸の実技を身につけるため卒業後に同校敷地内に設置されていた文部省工芸技術講習所に入所し、後にともに色絵磁器で重要無形文化財保持者となる富本憲吉(1886~1963)、加藤土師萌(1900~1968)に指導を受けました。実家はやきものとは関わりがなく、講習所卒業後は個人の制作を続けながら富本の助手、陶磁器デザイナー、あるいは指導者として、東京から岐阜、京都、和歌山、鹿児島など各地を転々としていきます。京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)に勤務していた時代には走泥社やモダンアート協会に参加しオブジェ陶で注目もされますが、1962年に東京藝術大学助教授に就任以降、環境を整えながら徐々に色絵に専心していくことになります。
本展では、1970年代半ばから最晩年の91年までを中心に、素材や技法を開発して色絵磁器に本格的に取り組んだ充実期の作品を通して、藤本能道の制作をご覧いただきます。
主な展示作品
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《色絵木蓮と鵯八角筥》
1976年 -
《霜白釉釉描色絵金彩燈火誘蛾図長四角筥》
1991年 -
《色絵えにしだに雀陶筥》
1991年
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《雪白釉釉描色絵鶉図四角隅切筥》
1990年 -
《霜白釉釉描色絵金銀彩炎と蛾図扁壷》
1991年 -
《色絵翡翠文八角筥》
1979年